初期のむし歯の治療
● フッ素
フッ素は自然界にも存在し、わかめ、のり、魚介類、お茶、小魚などに多く含まれる歯を丈夫にする栄養素です。 フッ素は「歯質を強くする」効果があります。表面のエナメル質を構成するハイドロキシアパタイトの結晶の中の水酸イオンにかわってフッ素が入るため結晶が安定し、酸に溶けにくくなります。
また、「歯の修復を進める効果」もあります。一度溶けてしまったエナメル質が再び結晶化するように、促進する働きがあります。
シーラント
乳歯や生えたての永久歯、6歳くらいまでの奥歯は、溝が深く、生えている途中でもむし歯になってしまいます。シーラントは初期のむし歯を閉じ込めて活動できなくし、深い溝を埋め、むし歯菌が繁殖する住みかをなくします。
神経の近くまで進んだむし歯の治療
● MTR(Mineral Trioxide Aggregate)セメント
神経の近くまでむし歯が進行してしまうと、神経を取る治療が必要になります。しかし神経を取ってしまうと、どうしても歯の寿命が短くなるという問題があります。
「MTAセメント」を使用した治療では、神経に近い部分のむし歯を残して、セメントで保護しむし歯におかされた歯を堅くすることで、神経を取らなくてもよくすることができる可能性を高める治療法です。
メリット
- 歯の神経を保存できる可能性が上がります。
- 歯の切削をできるかぎり抑えることができます。
- 根尖病巣が治癒する可能性が高まります。
デメリット
- 細菌感染していない生活歯髄が適応症です。
- 歯髄を保存できない場合があります。
- 治療直後は歯がしみる場合があります。
- 保険外治療になります。
神経まで進んだむし歯の治療
● 根管治療(歯の神経を取る治療)
根管治療とは、歯の神経を取る治療です。歯の神経を取る治療の成功率は70~90%程度といわれ、根の先に膿の袋ができたりしてやり直すことも多い治療です。この治療を成功させるには、「CTによる精密画像による確認」、「ラバーダム」という覆いをして細菌感染を防ぐようにすること、「マイクロスコープ」を使用して神経の取り残しをしないこと、薬でしっかり閉鎖することなど、非常に精密な治療となります。
根管治療の手順
土台(コア)
土台(コア)とは、神経を取った歯に被せ物をするための土台となるものです。歯には、食事や歯ぎしりなど、毎日いろいろな方向から強い力がかかります。歯は神経を取ってしまうともろくなってしまい、割れやすくなります。保険治療で一般的に使用されている金属の土台(メタルコア)は丈夫ですが、逆に硬すぎるため、強い力がかかった時に歯が割れてしまうことがあります。
そこで、金属の土台(メタルコア)ではなく、「ファイバーコア」というものが登場してきました。ファイバーコアでは、グラスファイバーの繊維を織り込んだ芯と、接着性レジンによって土台を作ります。硬さやしなり具合が歯と似ているファイバーコアを使用することで、歯が受け止める力を分散して「歯根破折」などのリスクを減らすことができます。
しかし、ファイバーコアは保険適用外の治療となります。
※平成28年1月より症例により保険適用となっております。
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大きなむし歯
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歯の土台の治療後(ファイバーコア)
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歯の被せ物治療後(オールセラミッククラウン)
被せ物(クラウン)
クラウンとは、むし歯などで歯を削った後に被せる人工の歯のことです。よく「差し歯」「被せ物」といわれています。比較的小さなむし歯の場合は、詰め物(インレー)による治療を行いますが、大きなむし歯や根管治療をした後は、詰め物ではなくクラウンによる治療となることが多くなります。
クラウンには、保険でできる金属で作られたものやレジン(プラスチック)で作られたもの、保険外となるセラミック(陶器)で作られた天然歯の様な自然な白さのものなど、様々な種類があり、保険と保険外で使える材料が変わってきます。