歯周病の検査
●X線等の写真撮影
歯周病の進行度は、歯肉を見ただけでは判断できません。歯槽骨の破壊状態をX線写真で確認します。
当院で歯周病治療をおこなう際には、最初に
- ・パノラマレントゲン撮影(1枚)
- ・デンタルレントゲン撮影(10枚)
- ・顔貌写真撮影(3枚)
- ・口腔内写真撮影(5枚)
を患者様の資料として撮らせていただきます。
● プロービング(歯周ポケットの検査)
歯周病の進行状態をみるうえで欠かせないのが、「プロービング(歯周ポケットの診査)」です。
プロービングを行うことにより、「歯周ポケットの深さ」と「出血の有無」を確認でき、「炎症の存在」と「歯周病の進行度」が分かります。X線写真だけでは把握できない頬舌側の歯槽骨吸収などの状態をプローブで探って判断します。
プラークコントロール(継続が必要)
「プラークコントロール」とは、歯周病の原因となる歯垢(プラーク/細菌のかたまり)を「作らせない・留まらせない」ためのものです。歯科医院で定期的に歯垢や歯石の除去などを受けていても、日常、原因であるプラークだらけのお口のままでは再発を繰り返してしまいます。
正しい歯磨きの方法の指導(TBI)
歯周病治療は、歯科医師や歯科衛生士の力だけでは全てを解決することはできません。なによりもご自身による日常ケアが重要となります。
日常のケアのために、歯科衛生士より、それぞれの患者様のお口の状態にあった、1本1本の歯をしっかりと磨ける方法を指導させていただきます。
基本治療
スケーリング
(歯ぐきから見える部分の歯石除去)
「スケーリング」とは、「歯ぐきから見える部分(歯肉縁上)」の歯石や汚れを、超音波スケーラーという専用の器具などで器械的に除去することです。
歯石は、軽石のようにたくさんの穴がある構造のため、汚れが停滞しやすく、歯周病菌増殖の温床となるため、除去が必要です。歯肉縁上の歯石を除去した後は、数週間おいて歯の周りの再検査を行い、歯周病の状態を確認します。軽度の歯周病の場合は、歯茎から上部分の歯石の除去と、適切なプラークコントロールで、完治することがほとんどです。
ルートプレーニング
(歯ぐきより下の見えない部分の歯石除去)
歯肉縁上の歯石を除去した後、歯の周りの再検査によって「歯茎より下の見えない部分(歯肉縁下)」の歯石がある場合は、「スケーリングおよびルートプレーニング(SRP)」を行います。
炎症により歯の周りの組織が破壊されて露出したセメント質は、粗造な構造で、プラークが入り込みやすい状態です。器具でセメント質を平らにすることで、プラークを付きにくくし、歯周病の進行を防ぎます。
ルートプレーニングは、1週間に2回を目安に、数度にわけて行い、一定期間をおいてから再検査を行い、歯石や汚れの付着状態や症状の改善のチェックを行います。
● 歯肉縁上プラーク
歯ぐきより上の歯面についているプラークで、患者様ご自身で確認できます。
(プラークを染め出す薬で赤く染まる部分)
● 歯肉縁下プラーク
歯肉構(歯と歯ぐきの間の溝で、歯周炎の場合は歯周ポケットといます)内のプラークで、目で見ることはできません。
歯周外科
歯周ポケット掻爬(そうは)術
歯周ポケット掻爬術とは、麻酔を歯ぐきに行ったうえで、セメント質(歯根の表層)に付着した汚れや、歯周ポケット(歯茎の深い溝)内壁の感染した組織を取り除く治療です。外科手術に分類されますが、スケーリング・ルートプレーニングと同様の器具で施術します。
歯肉剥離掻爬(はくりそうは)術 ※フラップ手術
スケーリング・ルートプレーニングや歯周ポケット掻爬術で汚れや感染した組織を取り切れない場合は、麻酔を歯ぐきに行い、歯ぐきを切り開いて取り除く歯肉剥離掻爬術(フラップ手術)を行います。スケーリング・ルートプレーニング、歯周ポケット掻爬術のような、歯茎の中に器具を入れる暗視下での処置には限界がありますが、歯肉剥離掻爬術では、歯茎を切り開いて、目視下での処置となりますので、直接肉眼で確認しながら患部を取り除くことができます。
歯肉歯槽骨整形手術
● 歯肉整形術
歯茎が炎症を起こして腫れあがってしまった場合に行われる手術で、不要な歯茎を切除し、歯と歯茎の間に食べカスやプラークが停滞しにくい環境を作ります。
移植する歯肉は上顎奥歯の内側から採取します。
上顎奥歯の内側の歯肉は厚さが3mmあります。1mmの厚さで歯肉を採取し、移植される側にメスで切開を入れポケット状にし、その中に採取した歯肉を入れます。
歯肉を採取された側は約2週間で元に戻り、移植された側が1ヵ月で周りと区別がない状態になります。
歯槽骨整形術
歯周病(歯槽膿漏)の影響によって、歯槽骨(歯を支える骨)が部分的に痩せてしまい、骨の形がデコボコになってしまうことがあります。そのままの状態ではプラークが停滞しやすく、歯周病がさらに進みやすくなる場合があり、それを改善させる一つの方法に歯槽骨整形術があります。歯槽骨を部分的に削って凹凸を無くすため、汚れが溜まりにくい状態にさせることができます。
歯周組織再生療法
エムドゲイン法(エムドゲイン組織再生療法)
顎の骨は再生する力をもっていますが、歯茎の治るスピードの方が早く、骨が再生する前に凹んだ部分へ歯茎が入り込んでしまいます。そこで、再生させたい骨の部分に「エムドゲインジェル」を投与し、歯茎が入り込むのを防ぎながら骨の再生を促すという方法です。塗ったエムドゲインジェルは、 歯根の表面に2~4週間とどまり、やがて吸収されます。
GTR法(歯周組織誘導法)
部分的に顎の骨が痩せてしまった場合の治療法には、エムドゲインの他に歯周組織誘導法(GTR法)があります。患者様の血液からメンブレンを作り、再生させたい骨の部分にそれを置くことで、歯茎が入り込むのを防ぎながら骨の再生を促すという方法です。
定期メインテナンス
歯周病は治療が終わったからと言って、もうなにもしなくても大丈夫という病気ではありません。治療後、歯周病を再度進行させないように維持していく必要があります。でなければ、せっかくの治療が無駄になってしまう可能性が大きくなります。定期メインテナンスは、治療によって改善したお口の中の状態を、悪化させないように維持していくために必要不可欠で、全ての人に必要なものです。
なかむら歯科では、この「定期メインテナンス」を受けることをおすすめさせていただいております。